バスといえば、大勢の人を運ぶ大型の乗り物というイメージがありますが、実際にはさまざまなサイズや種類が存在します。特に「小型バス」と「マイクロバス」という名称は、一般の人にとって混同しやすい用語です。しかし、これらのバスには明確な違いがあります。この記事では、小型バスとマイクロバスの違いについて、サイズ、定員、車両分類、利用用途などの観点から解説します。
小型バスとは?
小型バスとは、主に全長が7メートル以下のバスで、一般的には定員が20人から30人程度の車両を指します。小型バスは中型バスと大型バスの中間に位置づけられており、運転には中型自動車免許または大型自動車免許が必要です。車体サイズは比較的小ぶりながら、快適性や装備に優れており、観光バスや送迎バスとしてもよく利用されています。
小型バスは観光用としてだけでなく、企業や学校の送迎バスとしても活躍しており、荷物スペースが広く取られていたり、エアコンやリクライニングシートなどの装備も充実しているモデルが多く存在します。代表的な車種には、トヨタ「コースターGX」や日野「リエッセII」などがあります。
マイクロバスとは?
一方、マイクロバスは、一般的に定員が10人から29人程度の小型のバスを指します。小型バスと重なる部分もありますが、よりミニバンに近い構造で、法人や学校、福祉施設などでの送迎に広く利用されています。マイクロバスの最大の特徴は、普通自動車より大きいが中型・大型バスほどではない、というサイズ感にあります。
運転には基本的に中型自動車免許が必要ですが、定員が29人以下で、かつ車両総重量や車両寸法が一定の範囲内であれば、準中型や8t限定中型免許で運転可能な場合もあります。代表的なマイクロバスには、トヨタ「コースター」や日産「シビリアン」などがあります。
サイズ・定員の違い
小型バスとマイクロバスの最大の違いは「サイズ」と「定員」です。両者とも中型バスや大型バスと比べると小さく、機動性に優れていますが、小型バスのほうがやや大型で、定員もやや多く設定されています。
種類 | 全長 | 定員 | 運転免許 |
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マイクロバス | ~7m | 約10~29人 | 中型免許(8t限定含む)以上 |
小型バス | ~7m | 約20~30人 | 中型免許または大型免許 |
このように、サイズ感は似ていても、定員や装備に差があり、利用目的によって使い分けがされています。
用途の違い
マイクロバスは、主に短距離の送迎用に利用されます。例えば、ホテルの送迎バス、学校の部活動用送迎、福祉施設の利用者送迎など、日常的に短時間・短距離での移動が多い用途に適しています。バリアフリー対応や乗り降りしやすい構造を持つものも多く、利便性が高いのが特徴です。
一方、小型バスは、長距離移動や観光用途に対応できる装備が整っているため、観光バス、空港送迎バス、貸切バスなど、より快適性や荷物の積載能力が求められるシーンで利用されます。特に観光バスとしては、観光ガイド用マイク、冷蔵庫、荷物収納スペース、テレビモニターなどを備えた高機能車両も多く存在します。
登録上の分類と法律的な違い
日本の道路運送車両法上、バスの分類は主に「車両総重量」「乗車定員」「車体寸法」によって分かれます。これにより、運転に必要な免許や車検、税金などの法的条件が変わってきます。小型バスとマイクロバスの境界は曖昧な部分もありますが、登録上の区分や装備の内容によって、運輸局や警察の取り扱いが異なる場合があります。
例えば、マイクロバスであっても装備や座席数によっては小型バスとして登録されることもあり、実際の運用では「どのような免許が必要か」「定員は何名か」「どのような用途に使うのか」といった視点が重要になります。
まとめ
小型バスとマイクロバスは、サイズや定員において似ている部分があるものの、実際には用途や装備、運転に必要な免許などに違いがあります。
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マイクロバス:10~29人乗り、比較的コンパクトで短距離向き、送迎や福祉用に最適
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小型バス:20~30人乗り、やや大きめで装備が充実、観光や長距離移動に対応可能
利用目的や運転資格に応じて適切なバスを選ぶことが、安全で快適な輸送を実現するためには重要です。特に法人や団体がバスを導入する際には、車両のスペックだけでなく、運用方法やコスト、運転手の資格条件もあわせて検討する必要があります。